「辛辣だね」
独り言として呟いた言葉は、それでも彼女に届いていたらしい。
睨むように見上げてくる瞳には、少しだけ悲しそうな色が浮かんで消えた。
「失礼ね。本当のことを、言っただけなのに」
「他人との関係は、円滑に行わないと。・・・君が損をするよ」
「結構だわ。友人を損得で選ぶような、卑しい人間になりたくないもの」
彼女は、何時だって潔癖で正しい。それでいて、少しだけ頑固で正直すぎる。
今だって、その性分の所為で、折角出来た友人を失くしてしまった。
「本当の事は、知らないほうが為になる時もあるよ。皆、少しぐらいの嘘を付くことに、罪悪感なんて持たない」
自分が可愛くない人なんてね、いないんだよ。
そう言うと、彼女は酷く傷付いた顔を浮かべた。でも、それは本当に一瞬で、直ぐに彼女は不快そうに、綺麗な顔を歪める。
ああ、本当に綺麗な人は、どんな時も綺麗なんだなぁ、と的外れなことを思い、自分で苦笑する。それを自分への侮辱だと勘違いしたのか、彼女に先ほどよりも鋭く睨み付けられた。
「貴方みたいな人を、辛辣で性悪と言うのね」
静かに、それでいて嫌悪に満ちた声で言い放ち、歩き出してしまった。
続かない話。

PR